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はらぺこぐんだん2~殴りBISの破砕日記~

11章




11章
【フレアマインド】





《大きな町バリアート》



「さて、着いたぞ!」

紅覇はそう言いながら小さな家を指差す


「ここがフレアマインドの拠点なんですか?」

僕は見た感じ少しボロい小さな家を見ながら
半信半疑で紅覇を見る

「ふふ、入れば解るって」

微笑みながら紅覇は家の扉を開ける


すると家の中心部には大きな階段があり
地下へと続く通路のようなものが見えた

「なるほど、隠し拠点なのか」

クランツは関心したように階段を覗きこむ

「ああ、こういう秘密基地的なほうが面白いだろ?」


紅覇はそう言うと手招きをしながら階段を下りて行った



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《30分程前》


僕たちがバリアートを訪れる30分程度前

まだ僕たちはダメルに居た

「さて、レベル上げると言ったものの
 どこへ行けばいいんだろうな・・・うーん」

クランツは顎に手を添えながら唸る

「クランツと紅覇は今までどこでレベリングしてた?」


「俺はコロッサスとひたすら蹴り合ってたよ」

クランツはそう言いながら何かを蹴る素振りをする

「いや・・・君戦士でしょ・・・何故蹴りなのさ」

「え~・・・だってアイツひたすら蹴ってくるから
 ちょっとイラっとして俺も蹴り返してたらさ・・・そうなるよね」

僕は「ハハハ」と苦笑いをして紅覇の方を向く

「うーん、私は名も無き塔という場所で
 サソリを焼いたり突っついたりしていたな」

「なるほど・・・MAPで見る限り2人とも
 丁度適正の狩場で狩りをしていたようですね」

僕はACのMAPを見ながらそう呟く


「ちなみにこのゲームは、レベルが近い程経験値が多いタイプ?
 それともレベルが高ければ高い程取得経験値が増えるタイプ?」

僕はMAPを消しながら2人に聞く

「後者ではあるんだが、システム上あまり高望みすると危険でな」

「そうそう、ちょっとレベルが上なだけで
 非ダメが全然違って痛いんだよなぁ・・・」

2人は一度痛い目に遭った事があるようで
そう言って苦笑いする

「レベル高い人に手つだってもら・・・あ、そうか
 紅覇は一応ランキング1位だから自分より高い人いないんだね」

「うむ、それよりやっと呼び捨てで呼んでくれたな」

僕はそう言いながら腕に抱きつこうとしてきた
紅覇をさらりと回避しながらクランツの方を向く

「むぅ・・・」

「んと・・・クランツは琉架と隼☆と一緒に
 今までレベル上げしてたんだっけ?」

「あぁ、基本狩りは3人でやってたな」

2人の名前を出した事で、2人の事を想ったのか
少し心配そうな顔になるクランツ


「俺はソロでも結構狩ってたから
 2人より少しレベルが高かったんだけどな」

「なるほどね・・・まぁ、それなら話は早いね」


僕はACを再び起動させると
レベル毎のMAPを開く

「ん~・・・最初は無難にココでもどう?」

僕が指をさしたのは
適正Lv500~550の【激昂のミズナ】という名前の
秘密ダンジョンだった

「無難・・・無難ねぇ・・・」

クランツは苦笑いしながらMAPを見ている

引け腰になるのも無理はない
彼ら2人からすればLv500超えの敵と対峙するという事は

数百メートルもあるとんでもなく高い壁を目の前にしているのに
それを超えろと言われているようなものなのである

プレイヤーとの対決であれば
相手の隙やクセを見極める事が出来れば
あるいはどうにかなるものではあるが

自動制御のCP(コンピューター)相手の場合
敵は自滅を恐れず攻撃的に迫ってくる

プレイヤーにとってこれほど怖いものはない

2人とも痛い目にあった事があるようだし
その事を十分知っているのだろう


「なぁ、ジグ。君を信用していないわけではないんだが
 私のギルドメンバーを2人程連れて行ってはダメか?」

不意に紅覇がそう言う

「あぁそうか、紅覇はギルドマスターだったな」

「うむ、こういう時におあつらえの能力を持った
 ギルドメンバーが2人程居るのでな、彼らを呼ぼうと」

正直な所僕はあまり気が向かないが
メカレオンの件でも解る通り

僕が得たいの知れない人物だとしても
協力してくれる人も多いと知ったからここは紅覇を立てよう

「わかった、紅覇に任せるよ」



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《現在》


と、言う事で僕達は紅覇のギルド
【フレアマインド】へと来たという訳だ


僕とクランツは紅覇の案内で
地下への階段を下りてゆく

入り口を小さな家のように見せて
カモフラージュしていた為
階段自体の長さはさほどでもないだろうと考えていたが

思ったより長い階段になっていた


しばらく降りていくと
鉄製と思われる大きな扉が現れた

「ちょっと待ってくれよ」

紅覇はそう言うとACを操作して
ギルドの紋章を表示させ、それを扉に翳す

ガチャリ

重低音で錠が外れる音が響き
今の行為で開錠されたのだと解った

「行こうか」

僕達は紅覇に続いて扉をくぐる



そこはいわゆる漫画に出てくる【ギルド】そのものであり

ロビーには丸いテーブルがいくつも並んでおり
酒場のようになっていて、十数名がそこで食事をしていた

その奥にはカウンターがあり
ウエイターのような人物がせかせかと働いていた

動きのぎこちなさからして
ウエイターはNPCかと思われるが


僕達がその中へ入ると
鉄製の扉は自動的に閉まった


「ようこそ我がギルド【フレアマインド】へ!」

紅覇は笑顔で振り向きながらそう言って
手を大きく上げる


「おじゃまします」

「隠し基地だから人がもっと少ないと思ったな」

僕とクランツは初めて来る場所に
興味深々になりキョロキョロしはじめる


「マスターおかえり~、おや、その子達は?」

入口から一番近い場所に位置するテーブルに座っていた闘士が
僕たちを見ながら興味深そうに眺めてくる

「あぁ、丁度良かったイカロス、紹介も一緒にするから
 炎斬鬼を連れて会議室に来てくれないか?」

「おっけ~、炎斬鬼もあっちにいるから連れてすぐに行くよ」

そういうとイカロスは奥の方のテーブルに向かって歩いて行った

「紅覇が連れて行きたいのはイカロスと炎斬鬼って人か」

僕がボソっと呟くと
紅覇は僕の手を引きながら頷く

「あぁ、とりあえず紹介は後でするから
 会議室に行こうか、ほら、クランツもついてこい」

そう言って僕たちは言われるままに
イカロスが歩いて行った方とは逆側の
ギルド奥の扉へと向かった




~11章完~






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